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タイで話題の映画『หลานม่า Grandma's Grandchild』で不覚にも泣いた話

タイで話題の映画『หลานม่า Grandma's Grandchild』で不覚にも泣いた話

三か月ほど前に、親しくしているタイ人夫妻とその高齢のお母さんたちと映画館に行くことになりました。
映画のタイトルは『หลานม่า』で、意味は「おばちゃんの孫」って意味です。
でも、タイ語以外に翻訳されるときは『おばあちゃんが死ぬ前に何百万ドルも稼ぐ方法 / How To Make Millions Before Grandma Dies』って下世話なタイトルになってしまって、お金にフォーカスするなという気もします。

この作品、タイ(と周辺国)で話題になっていることは知っていましたが、私はタイ人の知人に誘われ、先月映画館に行く機会に恵まれ、後にタイネイティブの解説を聞けるという特典が付くと勝手に解釈してのこのこ参加して、映画館まで足を運びました。

見終わった後、私は泣いていました。映画はおばあちゃんの心理にフォーカスされてはいますが、孫のエムの心情もよく理解できる作品になっています。
私はエムの心情はよく理解出来て、おばあちゃんに無心する息子のことも普通に理解できるので、ひたすらおばあちゃんの心情に注意して鑑賞していました。視点としては孫のエムからの視点で物語が進みます。

その前に、人物相関図を見ていただくとわかりやすいです。

人物相関図

引用:ハルピロコム『祖母に可愛がられた人は観るべし』

人物相関図

หลานม่า のストーリー

感想を言う前に、大まかなストーリーを抑えておく必要がありますね。多少、独断と偏見を含みますが、私が2回鑑賞して理解できたレベルでまとめます。

大学を中退し、金銭的にも運にも恵まれなかったエムは、遺産相続を期待して、末期のガンの祖母の世話をすることを決めました。
エムはよくいる根はやさしいという元大学生で、まだ心は澄んでいる青年ですが、お金もないどこにでもいる男(孫)です。
しかし、エムはおばあちゃんの介護をする見返りとして、おばあちゃんから資産を譲り受けたいという、下心があります。
祖母はお金持ちではないのですが、現在住んでいる家の不動産価格が値上がりし、現金は無いけど資産はあるという状態です、日本でもよくある田舎の資産家のような感じですね。

エムはおばあちゃんの家に行くなり、何気におはじあちゃん家の外観写真を撮り、ネットで売却したらいくらになるのかと、写真とその住所をネットにアップロードします(後々、ネットでおばあちゃんの家が売りに出されたものと思ったユーザーが現場を見に来ます)。

持ち家の評価額が上がっただけなので、売ればお金になりますが、住み続けて自宅にしている限り普通の一般人の生活をするしかありません。

エムは祖母の世話をしているうちに、祖母の遺産目当ての子供が金をたかりに来るのを目にします。どさくさに紛れてにその息子(ソイ)が祖母のお金を盗んだりします。

おばあちゃんはそのことに心を痛めつつも、息子を責めずむしろサポートしたいような気持です。ここは親と子の関係ですね。

それを待間近で見たエムはいつの間にか遺産の相続などは無視して、おばあちゃんを献身的にサポートするようになります。

おばあちゃんの大腸がんが進行し入院することになるのですが、当然なすすべ無しで、残りの時間をともに過ごすことになります。借金に追われる息子(次男)はお金のことばかり心配しますが、娘(エムの母)は純粋に母のことを心配します。

お金は必要だが愛情はもっと必要

この作品、タイ人のいいところが表現された映画だと思います。
われわれがタイ人というと、中華系のタイ人を思い浮かべる人も多いのですが、本作は中華系タイ人に特化したストーリーになっています。独特の風習が所々出ますが、全体としては中華系以外のタイの国民性が上手く描写されているという感じを受けました。

エムはおばあちゃんに、「おばあちゃんにとって一番大切な人は誰」と聞くと「オマエは私の一番大切な人ってわけじゃない」みたいなことを言われます。エムは自分が思いっきり看病しているんだから、自分が1番目に来ると期待していたのでしょう。エムはすかさず「誰が一番なの」って聞きます。おばあちゃんはその問いには答えません。
この映画で私が一番好きなところはおばあちゃんが涙ながらに娘(チュー、エムの母)に訴えるシーンです。
エムはいつも私を困らせる。エムは誰がおばあちゃんにとって一番大切な人なの?って聞くんだよ。」ってエムの母に死を迎えつつある中で涙を流しながら語ります。
おばあちゃんは「誰が私に一番大切な人なのかは私にはわからない。でも、お前(チュー)と一番一緒にいたい」と自分の娘に答えます。

この場面が一番、おばあちゃんの本音が聞けるところで胸みます。
現実社会にもよくある話で、娘がいる人は最後は娘に看取ってもらいたいという高齢女性は多いです。

お祖母ちゃんの子供は3人いますが、次男は問題ばかり起こして長く一緒にいると息苦しく、長男はといえば、冷たく、長男の嫁と長くいると息苦しいという感じです。
エムの母(チュー)は、シングルマザーで決して生活が楽ではないはずですが、一番愛情を表面に出してくれる人です。だから、一緒にいると落ち着くのでしょう。

本作では、娘と母親の関係は悪くないのですが、財産分けの時にクズ息子がほぼ全部を持って行き、献身的に看病した娘や孫にはほとんど残らないという現実もしっかり描かれています。それでも、孫はおばあちゃんを看病したところがいいのですけどね。

エムの母には何も残らなかったが、エムにはお金が残った

หลานม่า から感じるタイの10個のハート

タイネイティブとお茶しながら理解したことです。タイ人は日の映画を視てどのように感じたのかをまとめます。
ピックアップした10項目はタイ人が一般的に持っている考え方です。
ピンとこない人は、タイ人は仏教的理由でな執着心をあまり良しとしません。日本人でも、しっかりした人は執着心をコントロールできますが、執着心の最たるものは死別の辛さゆえの、離れられなさです。映画では死が意外と淡白に描かれている点が、まさにその感覚です。

人との時間を大切にしよう

人の一生とは、時間のことです、このことは意識しなければ感じません。時間を失うというこ幸せを失うことは同じです。

身近なる人こそ宝物

家族のようないつも一緒にいると思っている人ほど、自分が一緒に過ごす時間を意識していません。滅多にあえない家族だけでなく、いつもいる家族にこそ意識的に一緒の時間を過ごしましょう。

親の愛は最強

親は自分の子供を愛しています。兄弟が多かったり、環境や人によってはその愛情を満足に感じられなかったかもしれませんが、それでも親は自分の子供を愛しています。このことは親ではなく、子供の側が深く意識しておく必要があります。

失うときに、その大切さがわかる

大切なものは、無くす時に本当の重みを感じます。
だから、無くす前に一緒に過ごす時間をするのです。

親がいるうちに、機会を作って大切な期間を過ごそう

親の方が残っている時間は短いのですから、一緒に過ごす時間は大切です。

お金は切れすぎる諸刃の刃

お金に支配されてはいけません。支配しようとしてもいけません。
お金との向かい合い方を間違えると、仲の良い親戚や友人と築いた友情も信頼も失います。

別れは誰にでも来る、恐れない

永遠でないから貴重だということがわかれば、別れには恐れずに向かい合うことができます。

歳を重ねても悔やまない

何をするにしても遅いことはありません。自分に時間が残されている限りは。
今できることをやりましょう。

時間とお金は同時に得られない

老人には金があったとしても、残された時間は少なく、活力も弱めです。若者はお金はありませんが、時間があり、活力はあるはずです。お金は貰ったり、奪ったりできますが、時間はもらえません。

無償の愛こそが至福の人生

人に愛情を育むときは見返りを求めてはいけません。
愛しているんだからあなたも愛して欲しいなんてのはいけません。
見返りを求めない愛が至福だと分かりましょう。

海外から、本映画をNetflixで観るときは下のVPNなども活用してみてください。

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