プラユット首相会見の要旨および勅令についてです。勅令は在タイ日本国大使館の仮訳を引用します。
「非常事態」プラユット首相兼国防相の会見
・3月24日14時から首相府において行われたプラユット首相兼国防相の会見において、「仏暦2548年(2005年)の非常事態における統治に関する勅令」を3月26日付で適用する旨発表しました。
※現時点で外出禁止令などの具体的措置の適用については発表されていません。
今後、国内外の感染者数等の状況等を踏まえ、これらの措置が変更されることもありますので、引き続きタイ政府や関係機関等からの発表の最新の情報収集に努めて下さい。
首相兼国防相の会見の概要
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況に対し、政府内で検討を重ねた結果、状況の改善(感染拡大の防止)のために、「仏暦2548年(2005年)の非常事態における統治に関する勅令」を3月26日付で適用することを閣議決定した。適用期間は
1か月間(3月26日から4月30日まで)である。 - 同勅令に基づき非常事態宣言が発令され、政府内に特別な作業チームとして、プラユット首相兼国防相を責任者とする「COVID-19問題解決センター」を設置する。同機関において今後の措置が検討、決定されることになるところ、政府として国民の皆さまに日々の動きをお伝えしていく。
- 状況の改善のために広範な協力をお願いする。
- 現在、様々な情報が発信されているが、内容の真偽に注意してほしい。
ウィサヌ副首相の補足説明
ウィサヌ副首相が非常事態宣言下で想定される措置であるとして補足説明を行っています。
1 非常事態宣言発出の目的、適用範囲及び適用期間
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大を確実に防ぐため、3月26日から4月30日まで非常事態宣言を発令し、同感染症が全国に拡散している現実に則し、非常事態宣言は全国に適用される。
・これまで南部地域に発出されている非常事態宣言は、引き続き適用を続ける。
2 非常事態宣言の実施体制
・非常事態宣言の実施体制として、プラユット首相兼国防相を責任者とする非常事態対策本部(CRES)を設置する。同対策本部は既に首相直轄として設置されている対策センターを格上げし、置き換えるものである。
・同対策本部には関係省をはじめとする閣僚が参加するが、閣僚の権限は「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」に則し、プラユット首相兼国防相に当面移行される。
・CRESの下に、保健、内務、商務、外務、デジタル経済、国内治安といった諸分野の責任者による委員会を立ち上げ、プラユット首相兼国防相が委員長を務める。諸分野の責任者は、各省の次官が務める。国内治安は国軍司令官を責任者とする。同委員会の事務局は国家安全保障局が務める。
3 非常事態宣言の下での具体的措置(規制)
・現時点で具体的な規制措置は適用しないが、感染拡大状況等を考慮して適用していくところ、今後の政府発表を慎重に聴取願いたい。
※適用が検討されている措置は以下のとおりであり、これらは非常事態宣言の根拠法である「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」によって政府に権限が付与される内容に則したものである。感染拡大の状況次第で適用の強制状況も変化することになるが、国民の権利の制限であるので、政府としては慎重に検討している。
禁止が“検討”されている事項
・施設及び場所への立ち入り(既に首都バンコクをはじめ国内各県で「感染症法」に基づいて「禁止」措置がとられているところ、これらの「禁止」は引き続き適用される。)
・越境入国
・集会
・虚偽の情報の流布
越境入国の例外措置:
- タイ国籍の者は医師が署名する健康証明書(fit to fly health certificate)を提示することで入国が認められる。
- 諸外国の外交官及びその家族は、タイ外務省による確認が得られ、かつ医師が署名する健康証明書(fit to fly health certificate)を提示すれば入国が認められる。
- パイロット、エアホステス、トラック運転手等のロジスティクス従事者については、時間的な制限はあるが入国が認められる。
- CRES責任者(首相)が特に認める者は例外措置が与えられる。
実施が望まれる措置
- 医療体制の拡充
- 医療器具の拡充
実施すべき措置として“検討”されている事項
不要不急の外出は控えること。特に以下の人々は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重症化のおそれが高いため、特に外出を控えるべきである。
- 70歳以上の高齢者
- 糖尿病等の持病を有している者
- 5歳未満の者
タイ王国への越境入国の閉鎖の概要
(非常事態令)第9条に基づく決定事項(第1号)が発表され、その第3項において、外交使節団や労働許可証を有する者等を除く外国人の入国を禁止するされています。
日本からタイに入国後は、自宅等における14日間の自己観察を実施することが要請されております。
非常事態令 第9条に基づく決定事項(第1号)日本語仮訳(主要部分)
在タイ日本国大使館による「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」(非常事態令)第9条に基づく決定事項(第1号)の滞在日本人に影響を与える主要部分の日本語仮訳は以下のとおりです。
「入域禁止および閉鎖」第1項および2項の日本語仮訳(主要部分)
在タイ日本国大使館による「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」(非常事態令)第9条に基づく決定事項(第1号)第1項および2項の日本語仮訳は以下のとおりです。
第1項 感染の危険性のある区域への入域禁止
本決定事項が決定され広く公表される以前、つまり、3月17日の閣議決定、もしくはバンコク都知事、各県知事、防疫担当職員、ないし2558年感染症法によって定めたCOVID-19感染の危険性のある地域もしくは場所への進入を禁ずる。また、上述に該当しない地域においても、本決定事項第11項に従って行動する。
バンコク都知事、各県知事、都ないし県の防疫担当職員の告示もしくは指示は、本決定事項の指示と同義とする。
第2項 感染の危険性のある場所の閉鎖
感染症法第35条(1)に則してバンコク都知事、各県知事が発出した、多くの人々が集いCOVID-19感染の危険性がある特定の施設の閉鎖に関する指示に加え、以下の施設の閉鎖を命ずる。
(1) 全都県の、ムエタイ競技場、運動場、競技場、児童の遊戯施設、競馬場。別途指示あるまで。
(2) 2509年風俗営業法、2535年保健法、もしくは2559年健康増進法に則し、バンコク都及び近隣県(ノンタブリ、パトゥムタニ、ナコンパトム、サムットプラカン、サムットサコン)における、酒場、エンターテイメント施設、見本市場、会議場、展示場、遊園地、個室付浴場、古式マッサージ、スパ、フィットネス、遊技場。本決定事項の施行以降、別途指示あるまで。
(3) 公園、博物館、図書館、宗教施設、ロジスティクスもしくは公共交通機関、市場、ショッピングモールについては、全体もしくは部分的な閉鎖について、バンコク都及び各県の感染症予防委員会の意見を受けて、条件等について検討することを命ずる。感染の危険性と、人々の生活や移動の必要性、就中、初期においては準備や順応の必要性を勘案する。施設の閉鎖の指示がない期間は、施設の所有者もしくは管理者がスクリーニングもしくは本決定事項第11項に定める措置を講ずる、ないし可能な限り右措置に準ずる措置を講ずる
「王国への越境入国の閉鎖」第3項の日本語仮訳
在タイ日本国大使館による「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」(非常事態令)第9条に基づく決定事項(第1号)第3項の日本語仮訳は以下のとおりです。
第3項 王国への越境入国の閉鎖
航空機、船舶、車両、その他いかなる乗り物を利用した、もしくは、空路、水路、ないしは陸路のいずれかによる王国への越境入国に関しては、検問所、陸上国境等、感染症関連法規及び出入国管理法で定める地点を管理する係官に対し、以下の場合を除き、出入国を閉鎖せしめる。
(1)首相もしくは非常事態における責任者が必要性に鑑みて例外として許可した場合
(2)必要性のある輸送者。ただし業務終了後は早急に出国せしめる。
(3)業務のために越境入国する必要があり、かつ越境出国の日時が明確に定められた、乗り物の操縦者もしくは管理担当官
(4)タイ王国内での任務についている外交使節団、領事団、国際機関の職員、もしくはタイ王国内での任務を行うために来訪する政府を代表する者で、(タイの)外務省がその必要性に鑑みて許可を与えた者、ないしは上述の者の家族に属する者で、(タイの)外務省に対してタイ王国への渡航に関する文書及び本細目第2文(注: 「上述の者の家族に属する者」)であることの文書を提示して事前に連絡を行い、証明書の発行を受けた者
(5)タイ国籍を有していないが労働許可証を有する者、もしくはタイ当局からタイ国内で働くことを認められた者
(6)タイ国籍を有した者の場合は、居住地のタイ大使館もしくはタイ領事館に連絡をとり、保証書ないしは医療証明書をとりつける、または、本細目第2文(注;「タイ大使館もしくはタイ領事館に連絡をとり」)に関して第3国のタイ大使館もしくは領事館からタイ国籍所有者に対してタイ王国への帰国のための文書を発給する。細目(4)(5)もしくは(6)の例外措置もしくは免除をうける者については、渡航に先立つ72時間を越えない時間において発行された、空路での移動に適した健康状態であることが確認された医療保証書(Fit to Fly Health Certificate)を所有する必要があり、タイ王国への越境入国後は、感染症予防のために、本決定第11項に定める措置に従わなければならない。
出入国を管理する職員は、出入国管理法に則し、新型コロナウイルス感染症に感染が判明したもしくは感染の疑いがある、ないしは検査の実施に同意しないタイ国籍を有しない者の入国を拒否する権限を有する。
「買いだめ、集会の禁止および情報の流布および関連措置」第4項ないし8項の日本語仮訳
在タイ日本国大使館による「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」(非常事態令)第9条に基づく決定事項(第1号)第4項ないし8項の日本語仮訳は以下のとおりです。
第4項 買いだめの禁止
何人も、2542年価格管理法の対象品であるか否かを問わず、薬用品、衛生用品、食料、飲料水もしくは日常生活にとって必要な物品の買いだめを禁ずる。価格、品質、数量、流通、輸出の統制対象品である場合、関連法規に従うものとする。人々の需要を満たし、不足状況を避ける観点から、関連法規に則して当局職員による調査と管理を実施せしめる。
第5項 集会の禁止
非常事態対策の責任者(注:プラユット首相)が指定する、ないし治安維持関連法が定めるいかなる場所においても、密集状態を生じ、治安の不安定化を誘発するような集会もしくは会合の実施を禁ずる。
第6項 情報の流布
人々の感情が平静であることが特に求められる現在の非常事態の状況下において、COVID-19に関する情報やメッセージで、虚偽もしくは人々を恐れさせる、ないしは事実を意図的に曲げて誤解を招くような情報の、各種方法での流布を禁ずる。また、そのような行為に対し、当局職員により、注意喚起もしくは右情報の修正を求めることとし、影響が重大な場合は、2550年コンピュータ法、もしくは非常事態令の該当部分に則して訴追を行う。
第7項 非常事態に備えた措置
(1) バンコク都知事及び各県知事に対し所掌の県内の非常事態状況の統制を指示し、状況について内務省への報告を指示する。
(2) 当局機関、職員に対し、本件決定に伴う措置による国民の負担の軽減のための予算措置を含めた各種措置の実施を指示する。それが困難な場合、中央当局の協力を仰ぐ。
(3) 病院、クリニックといった患者の看護を行う施設は、官民を問わず、保健省が定めるもしくは推奨するような、医薬品、衛生用品、検査器具、呼吸器等の医療器材、及び人員の調達と拡充を行い、今後増加の可能性がある感染者の隔離、観察のための部屋及び病床を準備する。この場合、ホテル、学校、大学、会議場、宗教施設、寺院、民間施設の転用や、臨時の医療施設とするよう協力を求める。
(4) 県境を越えて移動した者が当局の指示もしくは自主的に観察、ないしは隔離をおこなう場合、各県知事が指定する職員もしくは防疫専門家、ないしは保健ボランティアが、同人の状況確認を行い、厳格及び適切な観察もしくは隔離を実施せしめる。この場合、近隣住民からの協力を求める場合もあり得る。上記(3)の場合、関連法規に適正に従った行動をとり、保健省中央予算局及び権限を有する関連当局が、例外や免除を検討する。
第8項 特定の人々に対する措置
COVID-19感染の危険性が高い、以下に列挙する特定の人々は、外部からの感染を防ぐため、住居もしくは自らの生活場所に留まること。
(1) 70歳以上の高齢者
(2) 心臓や脳、もしくは気道の病気、アレルギー、先天的に免疫が弱い者で、医薬品を常時使用する者
(3) 5歳未満の幼児上記の者でも、以下の場合は含まれない。
医師への面会、通院、医師、看護師、医療従事者としての用務、証券及び財務関連、ATM関連の用務、マス・メディア関連、通信もしくは郵便、ロジスティクスもしくは公共交通機関、食料品の調達や配達、警察官、検察官もしくは司法関係者、または、当局の告示、指示により定める業務に従事する者、もしくは権限のある当局者から許可を得た者。なお、これらの場合も、本決定事項第11項に従い行動すること。
非常事態令 第9条に基づく決定事項(第1号)第9項(出国に関する措置)及び第13項(県境を越えた移動に関する勧告)の日本語仮訳
在タイ日本国大使館による「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」(非常事態令)第9条に基づく決定事項(第1号)第9項(出国に関する措置)及び第13項(県境を越えた移動に関する勧告)の日本語仮訳は以下のとおりです。
第9項 出国に関する措置
外務省、内務省及び国家警察庁に対し、定まった業務を有さないもしくは王国内に居住している外国人が引き続いて王国内に留まるにあたっての、審査、査証発給もしくは許可を厳格化せしめる。
タイ国籍を有しないもしくは王国内に居住していない者が王国外へ出ようとする場合はそれが認められるが、本決定第11項(感染防止措置)に定められた措置に従い行動しなければならない。
第13項 県境を越えた移動に関する勧告
当面の間、不要不急もしくは居住地で働いている場合は、県境を越えた移動を中止もしくは延期すべきである。県境を越えた移動が不可欠な場合は、追跡が行われた場合に身体の隔離もしくは症状の検査を行い得るべく、スクリーニングを受け且つ本決定事項の措置に従い行動しなければならない。
第13項の勧告に基づき設置されたバンコク都に設置された現時点の検問所
- チェーンワタナ通り (Big C付近)
- スウインタウオン通り
- カンチャナピセク通りソイ39
- スクンビット通り(BTS Bearing駅近く)
- ラーチャプルック通り(タリンチャン区)
- スクサワディ通り(Bhumibol Bridge)
- ラマ2世通りソイ92
- ペチャカセム通り(ナコンパトム県との県境)
- Bang Na-Trad Highway(サムットプラカーン県との県境)
- Buraphawithi Express Way(Bangchak料金所付近)
- Vibhavadi-Rangsit Rd.(The National Memorial付近)
- ドンムアン有料道路(ドンムアン料金所付近)